研ぎ実績

FEEL CK600

ハサミを開くと「JAPANESE HITACHI COBALT ALLOY AT314」という字が見えました。

日本の日立のコバルト・・・・とは何のことでしょうか?

FEEL CK600を研ぎました

ハサミDATA

はまぐり刃 太めの直刃に近い柳刃
ネジ
出っ張りタイプ
ハンドル
ラクダのオフセット

はさみ職人's EYE

今回研いだのこちら。

ラクダのハンドルが特長的です。

開いた感じがこれ。

いわゆる普通のハサミです。

おおっと。

よく見ると「JAPANESE HITACHI COBALT ALLOY AT314 MADE IN JAPAN」を彫られています。

どういう意味でしょうか。

JAPANESE (日本の)

HITACHI(日立の)

COBALT ALLOY(コバルトアロイの)

ATS314(アーティエス314)

MADE IN JAPAN(日本製)

ってことです。

もう少し

深く意味をさぐってみましょう。

JAPANESE (日本の)

これはこれ以上追加説明できないですね。

 

HITACHI(日立の)

これは日立製作所ではなくて、日立金属株式会社と言う意味です。

(その後、日立が株を手放して、ファンドがTOBで・・・みたいなことになっています。いやいや大事な日本の刃物技術を海外に流出させてしまうのではないか?そんなことしないでね。って地元の自治体が日立にお願いしたと記事にのってました。)

ということで、日立金属のHPを見てみました。

全世界に社員3万人。売上9000億円の大会社でした。

ちなみに、日立金属の前身「安来製鋼所」というのがあって、ここが「ヤスキハガネ」という刃物が得意なところでした。今も一番の有名ブランド鋼です。

 

COBALT ALLOY(コバルトアロイの)

コバルトというのは金属の名前、アロイは合金と言う意味。

つまりコバルト合金ということですね。

 

ATS314(アーティエス314)

コバルト合金の・・・その名前はATS314ということです。

↓これは日立金属HPの刃物のグラフです。

ちょっと解説してみますか?オオタなりの・・・。笑。

「第1図 炭素鋼系刃物鋼の位置づけ」の図ですが、黄とか白とか青もありますね。

これは日立金属の独特の商品名です。

鉄板だと見わけがつかないので、白い紙とかを貼って分かりやすいようにしていると聞いたことがあります。

 

さらにツッコミます。

白紙2号。

C量増加(硬さ+ 靭性-)の意味です。

C量と言うのは多分、炭素。鉄に炭素を入れると硬さが+になって、靭性が-になります。

靭性というのは、形を留めておく力。

柳の木にように曲げても折れにくいと靭性は+です。桜の木だと反対です。

 

刃物としては硬さは+がいいです。ハサミも同じです。

靭性は+の方がいいですね。-だと刃が欠けやすくなります。

 

へぇ。ってことで、となりの第2図。

今度は黄・白・青に続いて、銀がでてきました。

縦軸に「硬さ・耐摩耗性」です。

ハサミにとってもは両方とも必要です。

そして横軸の耐食性。これは錆びですね。

もちろん理美容のハサミも、錆びない方がいいです。

よーく見ると、「ATS314」がなくて「ATS34」ですね。

「1」はどこに行ったんですかね。

このATS314はある材料メーカーさんのオリジナルの鋼材です。なのでこの図に載っていないんでしょうね。

ATSと名前につけるくらいだから、ATS34に近いんでしょうね。

銀3にMO(モリブデンです)を添加して耐食性と硬さを向上させたものがベースに・・・。

鋼材ってこんな感じで、煮物の味付けみたいに塩とか砂糖とか入れたり、いろんなことをして作られているんですね。

 

MADE IN JAPAN(日本製)

これは追加説明する必要はないですね。

あえて言えば、海外では日本の刃物というと人気があるということですかね。

 

最近は日本製の鋼を、中国とか韓国とかで加工しているものとかあります。

それって、微妙な日本製ですね。

さらに日本国内で微妙に手直しをしているものもあるみたい。

さらに微妙ですね。笑。

 

長々と・・・お付き合いありがとうございます。

まさかここまで長くなるとは・・・じゃ。またね!

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