切れるハサミは楽しいし、美しい仕事もできる。そんな手助けが僕の仕事です。京都はさみ職人 オオタトシカズ

研磨実績 Nic 6.5インチ

ご依頼いただいたお客さまからのコメントです。

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問題はニックで、研ぎやさんに出しても明らかにフォーリングが戻りません。
何度か落下させていますし、根本部分がくるっているような気がします。

開閉がシャリシャリ感があったのがなんとなく部分的にネバ感を感じます。

このハサミの材料は、一般的にステライトと呼ばれるものです。

当時のニック(ニチワ産業株式会社)さんでは、ニックコバルテック(または、ニックのコバルト)と呼んでいたそうです。

カタログを見せてくれました。ありがとうございます。

このステライトはちょっと特殊なもので、研ぐ場合クセがあり、ちょっとコツが必要だと考えています。

開閉にネバ感というのは、恐らく「ガムがついてるかのような、くっつくような粘り」があって、そのことを仰っているとおもいます。

この原因は2つあると思います。

ひとつは研ぎ、もうひとつはハサミ自体の消耗です。

Nic 6.5インチを研ぎました

ハサミDATA

6.5インチ。

オフセット。

上刃は、はまぐり刃、

下刃は、はまぐり刃でしたが本来ははまぐり段刃だそうです。

ネジは出っ張りタイプ。

ハンドルはシンプルなオフセット。

指穴が大きめに感じます。

はさみ職人's EYE

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研いだあとです。

写真の違いがわかりません。^^;

光加減でキメの細かさ確認できるかも知れないと思いましたが、残念です。

研ぐ前は、わずかですが、ザラついた感じです。

このザラつきは、鋼によっては必要なものです。

しかしこのステライトには、むしろマイナスな要素です。

このザラつきを極力おさえるようにしました。

人間の顔とヘアースタイルの相性があるように、ハサミと刃付けそれぞれにも相性があります。

この開閉でのトラブルのもう一つの要因は「ハサミ自体の摩耗」です。

はじめのうちは、研いだあと新品のように切れ味が復活するものです(悪いハサミは、あまり復活しませんが。)。

次第に、開閉するときに2本の刃の触れ合う面積が大きくなってきます。

そのとき以前より抵抗が大きくなると考えられます。

このハサミの材質は、よりキメが細かいので吸い付くような感じがつよくなるのです。

これを直すには、ウラをすき直して(オーバーホール)接触面積を減らす必要があります。

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