切れるハサミは楽しいし、美しい仕事もできる。そんな手助けが僕の仕事です。京都はさみ職人 オオタトシカズ

研磨実績 falco 30w目メガネ

北海道の美容師さんからのご依頼です。

こんなリクエストです。ありがとうございます。

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ポイントは、 ヌケ。
ヌケが悪く、毛を引きちぎるように切ってしまうようです。

falco 30w目メガネを研ぎました

ハサミDATA

【サイズ】6インチ。

【ハンドル】メガネ。

【刃のR形状】柳刃です。

【刃の面形状】

 【くし刃】30目w溝

 【棒刃】笹刃はまぐり刃

【ネジ】埋め込みタイプ。

指掛けを逆刃用に取り付けていらっしゃいます。

はさみ職人's EYE

今回は、お客さまからのリクエストもあって、より細かくいこうとおもいます。

このハサミの特徴から。

 

1.メガネ

基本的なところから。

メガネのハンドルは、正刃用として持つことができます。

また、逆刃用として持つこともできます。

この持ち主の方は、逆刃用として指掛けをひとつだけ取り付けていらっしゃいますね。

ちなみに、普段正刃で慣れている場合、逆刃のセニングは使いにくいです。

 

2.櫛刃の溝が、w

このハサミの大きな特徴のひとつです。

w溝は一時期、流行りでした。

ですが、いまはもうスタンダードですね。

カット率に比べ、カットラインが出にくいというのがあります。

 

3.ハガネ

このハガネは、堅いです。

硬くてしっかりと詰まっていて、いい感じです。

堅いというのは、毛に負けずに切り進む感じです。

柔らかいと毛に負けずに進むけど、たまに負けてしまうイメージです。

このたまに負けて、徐々に切れなくなります。

詰まっているというのは、キメが細かい感じです。

その反対はスポンジみたいな感じです。

これは実際に肉眼で見てわかりません。

なが切れしそうなハガネです。

 

4.つくり

繊細なカット向きな作りです。

あまり厚く毛束を取らないほうがいいと思います。

始めのうちはハガネの力で切れ続けます。

切れなくなった時は、今回のご指摘のように引きちぎるようになってしまいます。

ソリが弱めでヒネリが普通です。

開閉感が柔らかいです。

ネジはきつすぎるくらい、強く締めて使うと、このハサミはいい味を出します。

 

なぜ、引きちぎるようになってしまっているのか?

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この写真の状態で、棒刃に注目します。

こういう状態で、↓棒刃の線のところを切ったとします。

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すると、

我ながら、絵のセンスなさを感じますが、ここは説明ということで、想像力を膨らませて見て下さい。

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さらに上記図のまるのところをよく見ると・・・

こんな感じになっていました↓

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矢印の先。ヒゲみたいなものが出ています。

矢印の向きで爪でなぞると、わかります。

ハサミ屋でなくても普通の美容師さんでもわかるかと思います。

切れないセニングの大半はこんな感じになっています。

特に刃元などはこうなりやすいです。

カットが上手な方はこういうのに、神経質なのでこうはなっていないと思います。

逆に、あまりカットが上手でない先輩のセニングをチェックしてみてください(笑)

かなりの確率でこうなっているんじゃないでしょうか。

で。

先程の絵と実際のセニングにイメージを重ねてください。

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引きちぎるイメージでてきました?

引きちぎる感じがする・・・・というのは、実際に引きちぎっています。

切断面が白くなったり、、、

引きちぎりがひどくなると、パサつくとか・・・

セニングが原因な可能性がありますね。

 

【対策】

①研ぐ

もしこうなってしまったら、研ぐ。

できたら、セニングが上手なひとに依頼するのがいいです。

研ぎが下手なひとは、すぐこうなるように研ぎます。
(例えば、初日でこうなります。)

研ぎが上手なひとは、こうなりにくいです。
(例えば、3か月使ってもこうなりません。)

 

②拭く

そして、日々の手入れとしては、

こまめに革で拭く。

それもヒネるように拭く。

極々小さいヒゲであれば、革で拭いて取れます。

ヒゲを曲げて戻すイメージでヒネって拭いてあげてください。

特に研ぎたてや新品の初日は一人切ったら拭くくらいでもいいと思います。

 

③押し切りをしない

当たり前過ぎますけど、押切はよくないです。

押切をすると、ヒゲが出やすいです。

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